路線は、殺人、爆破、誘拐が多発することで有名になった南部の「死の三角地帯」を通っているため、2006年から18ヶ月にわたり運休。治安の改善がみられたため、昨年12月に再開にこぎつけた。最初はおっかなびっくりだった乗客だが、ここにきて安い、安全、手間いらずという評判で、親子連れの姿も見られる。
バグダッド・バスラ間は、550キロ。ディーゼル車で11~12時間。あいだには40の駅がある。座席が4000ディナール(3.33ドル)、寝台が10000ディナールと、よりポピュラーな公共交通機関のミニバンより安い。バグダッドの鉄道局長によると、この料金ではコストをまったく賄えなえず、イラクの人々に対する奉仕になっているという。
自家用車で行くとなると、まずガソリンに苦労する。イラク戦争開戦前はリッターあたり50ディナールだった。それが450ディナールにまで跳ね上がっている(しかも給油するのに長蛇の列。闇で買って不良品をつかまされ、エンジンに支障をきたすというようなことが日常的におこっている*)。それに、一々チェックポイントで停まらされるのも面倒(渋滞でなかなか前に進まない。しかも、テロに巻き込まれたり米軍や警察や民兵に撃たれる心配が常にある。ニセのチェックポイントに騙されて爆死させられるという事件が何度もおこっている。米軍関係車両のマナーの悪さは悪名高いが、一般ドライバーのマナーも悪くなっており、それを嘆く声を載せている記事を目にする*)。
イラク鉄道の総延長距離は3300キロ。西のシリアにつながっている。将来は東のイラン、南のクウェートにつなげる計画がある。従業員は11000人。スンニ、シーア、クルド、キリスト教徒と雑多な構成。
バグダッド・バスラ間は再開したばかりだが、フセイン政権崩壊後、2週間足らずで復旧させたものなど、暴力がはびこる中も多くの路線の運行を維持してきた。従業員はそのことに誇りをもっている。
*先週から今週にかけて景気のよい話が多い。石油精製や探査の権利をめぐって入札希望者を募ったり、ボーングに新型旅客機を40機(加えてボンバルディアに小型機も)注文したり、見本市をバグダッドで開いたり。
*加筆しました。
FEATURE-Baghdad-Basra train helps stitch up Iraq's wounds(2008/2/20)
http://www.reuters.com/article/latestCrisis/idUSL19575550
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