2004年に、イラクアメリカ商工会議所とカリフォルニアの企業La Crescentaが計画したが、オープンする70時間前に中止に追い込まれた。会場のすぐそばに迫撃砲が打ち込まれたためだ。
ビジターは、X線や爆発物探知犬などなんと10箇所のチェックポイントをへないと会場に入れなかった。初日は9時開催のところ昼まで待たされたため、参加登録料の返金を求める怒声が鳴り響いた。
すべての商品が会場に運び込まれるまで4日。これも米軍の厳しいチェックのためだった。しかし、大きなトラブルもなく閉会。
http://www.chicagotribune.com/news/nationworld/chi-
letter_sly_18feb18,1,3980842.story?ctrack=1&cset=true
かつては、イラクの国営企業、とりわけ大企業や電話会社が商談する機会だったが、今回はジュースやタバコといった民生品を生産する国営企業が出品の中心を占めたようだ。
見本市のスローガンは、「Buy Iraqi First」(まず、イラク製品を買おう)。開戦前は、参入障壁や国からの補助金があったため国営企業の経営は安定していた。開戦後は外国製品がどっと入ってきた。国営ペンキメーカーの社員は、自社の製品はかつて強制的にすべての省庁が使うことになっていた(例えば戦車の塗装なんかも)が、いまやどの省庁も使ってくれないと嘆いている。
LAタイムスの写真から、出展品の一部を紹介。
http://latimesblogs.latimes.com/babylonbeyond/2008/02/
iraq-in-baghdad.html
2枚目:黒いのはイラクコーラ、Yaffa。国営企業がつくっている。
3枚目:国営タバコメーカーは、世界で最も売れているアメリカのブランド、マルボロに似せた製品をつくることでこの苦境を乗り切ろうとしている。左は自社のオリジナルブランド、Sumer。
4枚目:この長くて黒い物体は懐中電灯。動画と静止画がとれる。ナイトビジョン対応で、真っ暗闇でも撮影可能。4000ドルもするのだが。ほかに、ポケットサイズの爆発物検索器も作っていて、こちらは8000ドル。セキュリティー関連の会社に売り込むそうだ。
5、6枚目:こちらはチェコの在イラク大使館が出品した自国製ガスマスクとトラクター(ミニチュア)。
もちろん、アメリカ企業も出展している。
ウォールストリートジャーナルは、KBR(ケロッグ・ブラウン&ルート)のブースを取り上げている。履歴書を受け取ってくれないかとか、下請けになれないかといった問い合わせに来るイラク人が絶えないという。
http://blogs.wsj.com/iraq/2008/02/15/a-trade-
show-relocates-to-baghdad/?mod=googlenews_wsj
イラク戦争ですっかりおなじみとなったこのテキサスに本拠をおく会社は、アメリカ政府とのイラク関連の契約が他を圧倒していると言われる。ウィキペディアによるとイラクに14000人を兵站業務に送り出している。2007年4月にハリバートンの子会社から転身独立転身。ハリバートンとの深い関係がきれたのは44年ぶり。
http://www.kbr.com/
http://en.wikipedia.org/wiki/Kellogg,_Brown_and_Root
AP通信は「L-3コミュニケーション」というアメリカの会社のブースについて伝えている。彼らはアメリカの会社が進出してきても困らないように、すでに7000人のイラク人通訳を確保しているという。
http://ap.google.com/article/ALeqM5g_KOSajOt
Gbzw6QQZYlQroLEvI9AD8URL1OG0
この会社は、国防総省との取引が多い。通信機器の開発製造、軍用機のメンテナンス業務、調査偵察業務といったもので稼いでいる。
http://www.l-3com.com/
隣国ヨルダンの首都アンマンでは、2004年より毎年、「リビルド・イラク(Rebuild Iraq)」という見本市が開催されていることで知られる。ヨルダンは復興ビジネスの玄関になっており、商談は建設関連が多い。ハイテクものを得意とする日本企業の参加は少ない。5回目の今年は5月5日~8日の予定で、「Project Rebuild Iraq」に名称変更される。Rebuild Iraqは他のイラク関連見本市でも使われており、差別化を図りたいという。まだまだ余談を許さないものの治安の改善が見られることから、今年は例年以上の活況をみせるかもしれない。
http://www.rebuild-iraq-expo.com/
2007年のようす
http://cache.yahoofs.jp/search/cache?p=
%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF%E8%A6%8B%E6%9C%
AC%E5%B8%82&ei=UTF-8&fr=ush-jp_headlnn&x=wrt&u=
topics.kyodo.co.jp/feature40/archives/2007/05/index.
html&w=%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF+%E8%A6%8B
%E6%9C%AC%E5%B8%82&d=dVJL93DuQS9y&icp=1&.intl=jp
2005年のようす
http://www.jetro.go.jp/cgi-bin/feature/news/wlnews.cgi?id=iraq&no=686
ちなみに、アメリカ商務省は、イラク向け投資促進のため、このようなHPをこしらえている。
http://trade.gov/iraq/index.asp
2006年5月に発表された「Industrial Competitiveness Analysis for Iraq」(イラク産業競争力調査)は、IZDIHARプログラムの下、アメリカのODAを統括するUSAIDが行った。IZDIHARはUSAIDが設立したイラクの国営企業の民営化や私企業育成を図ることが目的。2004年9月から3年間実施された。市場開放してアメリカ企業に儲けさせることが裏にあることは考えるまでもないだろう。
http://trade.gov/iraq/iraq_doc_busclimate.asp
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