http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2242287/1710121
専門のスタッフがうなだれた裸の子どもを前に、記録写真の撮影に笑顔で応えている。事の重大性がわかってなかったようだ(このあと現場責任者ともども逃走したんだけれど)。元ねたのCBSニュースはこちら。
http://www.cbsnews.com/stories/2007/06/18/eveningnews/
main2946004.shtml?source=search_story
こっちは動画。もっと鮮烈。
http://www.cbsnews.com/sections/i_video/
main500251.shtml?id=2946323n
CBSの記者が調べたところによると、この専門職の職員(たぶん、写真にうつっている二人の女のうちのどっちか)は、心理学者でもあり、他の施設で長い間働いていたというれっきとした経歴があるという。
市の事務方は、救出後すぐに現場に駆けつけ、相当なショックを受けたのだが(上の動画ではインタビュー中に涙を流している)、それとは別によくやっていると信じていた責任者に裏切られたことに動揺を隠せないでいる。それが誰なのか具体的には言えないということだが。
救出された子どもは、全員男の子なんだけれど、少なくとも数ヶ月前までは女の子と一緒に別の施設にいたという。ところがその責任者の決定で、男の子のほうを別の施設に移した。ことの端緒は、もしかすると単純に面倒をみるには多すぎるということだったのかもしれないが、移った先が政府の目に届かないところだったため、このような事態になったという。
http://www.cbsnews.com/stories/2007/06/18/notebook/
main2946477.shtml
食料配布の記録はちゃんと政府に残っているのに、それが子どもたちに与えられずにどう使われたのかいまのところ不明だ。たぶん、ブラックマーケットに流して懐をこやしていたんだろう。もしかすると民兵に流れていたのかもしれない。
幾つもある子ども用ベッドは新品で袋がかかったままということは、鼻から世話する気なんてまったくなかったに違いない。兵士が中に入ったとき、ちょうどスタッフが自分たち用の夕飯の支度をしていたというのだから呆れる。兵士は怒りを抑えるのに必死だったそうだ。
連日華氏100度(37.8℃)に迫るイラクで、水も食事もろくに与えてなかったというのだから、死んでどこかに葬りさられた子どもがいるんじゃないかと疑ってしまう。
5月、CBSはこれとは別に孤児に関するレポートをしていた。
バグダッドの孤児がどれだけいるかは、よくわかっていない。確かなのはバグダッド市内に8つある孤児院がどこも満杯ということ。あぶれた子どもは必然的に学校をやめ、ストリートチルドレンとして路上で香料やガムといった些細なものを売って日銭を稼ぐことになることだ。
もともとイラクでは孤児に対する社会の見方が冷たく養子に迎えることは稀であるという。孤児は一般の子どもに比べ粗暴であることから疎まれている。政府の援助も限定的だ。
フセイン時代から続くたび重なる戦争は孤児を増やしてきたが、現在はもっと深刻な事態に陥っている。ある日、スンニ派の親がシーア派民兵に連れて行かれて殺された、あるいはその逆のパターンが繰り返されている。残されたスンニ派の孤児はシーア派の子どもと遊ぼうとはしない。その逆もしかり。憎悪が次の世代に受け継がれていく典型だ。
また、ストリートチルドレンは民兵にリクルートされる危険が高いといわれている。若くて身寄りがなくて貧乏で、そういうのにやさしい声をかけてやれば…コマとしては最高に利用しやすい。こうなると孤児の扱いはイラク全体の問題につながってくる。
赤新月社(赤十字)のコーディネーターは事態を危惧しているが、実際のところ大したことができないことに打ちひしがれているという。(右側の「CBS NEWS VIDEO」で動画も)
http://www.cbsnews.com/stories/2007/05/08/eveningnews/
main2776590.shtml
昨年、日刊ベリタでは、IRIN(たぶん、国連の人道関連のニュースセクションのこと)の記事から、バグダッドの孤児についてとりあげている。
孤児施設局のアベール・マハディ・アルシャラバイ局長は「イラクの孤児施設の受け入れ人数は1600人ほどだが、施設不足で受け入れができないケースや、入所できても食料や薬が足りない時もある」と指摘、「孤児をめぐる問題が非常に深刻な問題になっている」と懸念を示した。
局長は孤児の増加について武装勢力の爆弾攻撃や暗殺、宗派間対立など「近年のイラク情勢の結果」だとしている。
米国際開発局(USAID)の2005年の報告書によると、イラクでは首都バグダッドだけで5000人の孤児がいるという。
労働社会問題省によると、孤児たちの中には路上生活者となり、物ごいをしたり、薬物中毒になる者も少なくない。さらには、武装組織が攻撃を行う際に何らかの形で利用される孤児や、犯罪集団から強制され、窃盗を行う孤児もいるという。(2006/4/19)
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200604192337313
USAIDでは、1997年からWFPを通じてイラク北部の孤児院を支援している。その結果、慢性的な子どもの栄養失調を11%減らすことに貢献しているとされる。
アメリカ政府がやっていることは、全体からすると褒められるようなことではないが、とはいえ例えばイラクの難民を扱うUNHCRだって、USAIDから予算がつかなければほとんど何もできなくなってしまう。出すといってもすんなり要求が通るわけではないので、現実問題アメリカからいかに出させるかが国連の仕事という側面があると聞く。
http://www.usaid.gov/stories/iraq/fp_iraq_orphans.html
あの人質になった高遠さんは、バグダッド市内で孤児の世話をしていたわけで、実際やれたことは微々たるものだったとしても、志は賞賛されるべきものだ。以下は彼女のブログ。最近の動向がわかる。
http://iraqhope.exblog.jp/
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