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http://www.tv-asahi.co.jp/asanama/
ユーチューブでハイライトの4分20秒があがっている。
http://www.youtube.com/watch?v=HKviUdWOUaU
■江田氏の爆弾発言■
海自の補給艦は現在アメリカ、イギリスをはじめドイツやフランスに燃料である石油を無償提供しているが、アメリカとイギリスだけには戦艦に直接給油するのではなく、両国の補給艦に給油している。これは防衛省の情報公開によって明らかになっている(この件が発表されたとき、なんだか怪しいと思った人は多いはず)。
そこで江田氏はこの補給艦の油が一体、何処に行っているのかを調べてみたところ、アメリカ海軍第五艦隊のHPに、『イラクの自由作戦』(Oparation Iraq Freedom。アメリカ東部時間2003年3月19日から始まった侵攻作戦。イラクにおける米軍の作戦行動全体を指す)についての記述の中に、日本政府はこれまでに86,629,675ガロン(30万キロリットル以上)の石油燃料の貢献があったという記述を見つけた。
一方、防衛庁は、アフガニスタンを対象とするテロ特措法に基づく給油活動で、これまでに38万キロリットルを提供していると発表している。
この二つの数字をつきあわせてみると、日本政府がアフガン向けに提供した油の8割以上がイラク戦争に使われていることになる。
さらに、2003年に在日米軍横須賀基地の機関紙(基地内で配布されている新聞)『シーホーク』の一面に、海上自衛隊のイージス艦のきりしま、護衛艦のはるさめ、補給艦のときわの写真が掲載され、「イラクの自由作戦を支援するためインド洋に配備され、5月20日に母港の横須賀に戻ってきた。イラクの自由作戦における同盟軍の海上作戦を成功させる手段であったと」という文が添えられていたことを発見。そして、これら艦船に乗って返ってきた海自の曹長が、「ときわは、同盟軍の艦船に230回以上の給油を行い、600人以上がイラクの自由作戦に参加した。きりしま、はるさめがもつ高度な通信能力はイラクの自由作戦の期間中、同盟軍の艦船を大いに助け、高い有用性を証明したと述べた」と報じている。
江田氏によると、イラクの自由作戦でイラク南部を攻撃した空母キティーホークにも給油しており、イラク戦争には人道復興支援という理屈は完全に崩れていると主張。この事実は防衛省も歴代防衛省長官ももちろん知っており、国民を騙していると断言した。
■森本氏は苦渋の表情、田原氏は関心よせる■
対イラクに向けた給油という疑惑は、これまで何回か報道され、そのたびにテロ特措法逸脱であるという指摘がなされてきた。キティーホークに関しては、ときわが2003年2月に給油していたことが分かっている。2003年12月5日にも、イラク行きの3艘に給油していることが分かっている。このような状況から、相当量がイラク戦争用に使われているのではないかという噂はずっとあった。しかし、8割以上がイラク行きというのは驚きだ。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-08-16/01_01.html
イラク戦争はアメリカが安保理決議1441を拡大解釈して始めたもの。開戦半年後には「国連憲章に対する根本的な挑戦」とアナン事務総長(当時)が国連総会の壇上で切り捨て、国連がいまだ了承していないアメリカの論理に基づく戦争である。
http://www.un.org/webcast/ga/58/statements/sg2eng030923.htm
それにもかかわらず、自衛隊は国民に知らせることなくイラク戦争の最前線で活動しており、イラク戦争における兵站業務を積極的に担っているということは、自衛隊の活動はテロ特措法、イラク特措法の範疇を超えていることはおろか、現行の憲法解釈では違法とされている集団的自衛権の行使の発動を実際上していることになる。
ところでこの発言は、保守派の論客である森本敏氏(拓殖大学海外事情研究所所長)のアメリカのアフガン戦争およびイラク戦争支援の発言に対してなされたものであるが、江田氏がしゃべっている途中、カメラは森本氏の顔を時折映していた。苦虫を噛み潰したような表情で動揺しているのが分かった(ユーチューブで確認可)。また、事実関係を争う反論は一切なかった。
私は生で見ていたのだが、司会の田原氏は重大であると何度か江田氏に発言の機会を与えた。番組終了直前にはこの件についてすでに知っていた人に挙手を求めたところ、渡部恒雄(戦略国際問題研究所非常勤研究員)が手をあげた。この人は常連パネリストではないからいいとしても、問題は森本氏だ。「森本さんは知っていたの?」と田原氏が聞いたところ「知っていました」と明言。関係者から聴かされていたと付け加えた。これには江田氏の発言に相当する衝撃を受けた。これは詐欺だ。アフガン戦争にもイラク戦争にも絶大な支持を表明し、二つの戦争の欺瞞を説く姜尚中氏とほぼ毎回やりあってきた森本氏が、このような重大な事実を知っていて隠し通してきたことは、視聴者を愚弄しているに等しい。
朝生では視聴者の意見を放送中に電話やファックスで受け付けているが、進行の長野アナウンサーによると江田氏の発言に対する関心が非常に高かったそうだ。視聴者の関心も田原氏の関心も高い。田原氏は2日のサンデープロジェクトで触れる可能性が高い。
テロ特措法延長か否かをめぐっては、世論は反対に傾いている。最近の産経新聞とFNNの合同調査では、34.2%の賛成に対して54.6%が反対だ。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/politics/politicsit/80603/
江田氏の発言はインパクトが強い。おそらく、次期国会では自民党と防衛省は益々窮地に立たされると予想される。
なお、江田氏によると第五艦隊の問題の記述は今週になってアクセスできなくなったという。ウェブ魚拓のような、ページの過去記録(キャッシュ)を取っている人がいるとよいのだが。
http://megalodon.jp/
ユーチューブの映像も、著作権の問題や防衛省などの圧力で早晩削除されるかもしれないので早めに見ておいたほうがよいだろう。私はもっていないが、ユーチューブの映像を保存できるソフトが市販されているので、そういうのを使って保存し、ネットに上げ続けることもありだ。
■江田氏が指摘したシーホークの記事は本当か?■
さて、ここからは私が調べたことだ。江田氏によると第五艦隊のHPの記述はもうないというのだから見ようがないのだが、横須賀基地のほうは特に何も言ってなかったので裏をとる意味でHPを閲覧してみた。そうすると、シーホークのバックナンバーが1999年11月より現在までほとんど閲覧可能な状態だった(ただし、古い号はデータの圧縮方法が現在のものと違うようで、閲覧には一工夫いるもよう)。江田氏が指摘した号は、2003年5月23日号だと思われる。江田氏が言うようにインド洋から帰ってきたきりしまが一面トップの扱いだ。しかし、江田氏の説明とは大きく異なる。以下、全訳。
http://www.cfay.navy.mil/
http://www.cfay.navy.mil/archives.htm#1999
<海自の船がインド洋の作戦から帰還する>
5月20日、三艘の海自艦船は、不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)を支持することを目的としたインド洋における配備を終えて、母港である横浜に帰還した。
きりしま、はるさめ、ときわは、横須賀の繁華街にある海自のY-1、Y-2ドッグに係留された際、ヒーローズウェルカム(歓迎の出迎え)を受けた。
米海軍を代表する高官のなかで三艘を出迎えたのは、在日米軍特殊部隊のロバート・C・チャプリン海軍少将、ダニエル・ハートウェル在日米軍参謀総長、そして、特殊部隊DESRON15のマイケル・マホン海軍准将だ。
海自のサガイクオ曹長は、三艘は配備中、たくさんの新しい課題にあたり、海自は米海軍と密接に連動した同盟軍支援の役割において、これまでにない業績を達成したと述べた。
「海自と米海軍の協調関係は、世界において同じようなものがほとんどありません。活動期間中、ときわは、海域にいる同盟軍の艦船に230回以上、油を供給しました。600人以上の将校、下士官と一般自衛官が、不朽の自由作戦に参加しました。」
きりしまは、DESRON15に配備されているカーティスウィルバーの姉妹艦であり、2002年12月16日に出航。はるさめと、ときわは、2002年11月に出航。海自のインド洋における作戦行動に沿ってだ。
サガ氏は、日本が不朽の自由作戦の成功に貢献する機会がきたとき、海自の艦船は派遣の準備ができていたと言う。
「今回の件は、海自のイージス艦きりしまが作戦に参加可能な点、そして貢献可能なたいへんよい経験になると私たちが感じた点で、最初の好機でした。すなわち、我々は、世界においてたいへん重要な役割を担うことが自分たちの利益になると感じています。」
【左側写真のキャプション】
きりしまは、海上自衛隊の三艘の艦船のうちのひとつ。 「Operation Enduring Freedom」(不朽の自由作戦)を支援し、先だってインド洋から帰還した。同じく、ときわ、はるさめも、5ヶ月間の活動をへて帰還した。
【右側写真のキャプション】
在日米海軍のロバート・C・チャプリン少将は、海自のサイトウタカシ海将と話す。先だっての海自の三艘帰還の際、横須賀地区で。きりしま、はるさめ、ときわは、不朽の自由作戦における海軍の共同作戦の成功に貢献した。
江田氏の発言との違いは4点。
(1)海上自衛隊のイージス艦のきりしま、護衛艦のはるさめ、補給艦のときわの写真が掲載され…。
--→はるさめ、ときわは写っていない。写っているのは小型の別の船。
(2)イラクの自由作戦を支援するためインド洋に配備され、5月20日に母港の横須賀に戻ってきた。
--→不朽の自由作戦のこと?
(3)イラクの自由作戦における同盟軍の海上作戦を成功させる手段であった。
--→微妙に表現が違う。
(4)きりしま、はるさめがもつ高度な通信能力はイラクの自由作戦の期間中、同盟軍の艦船を大いに助け、高い有用性を証明したと述べた。
--→そんなことは言っていない。
不朽の自由作戦は、アフガンにおいて2001年7月の空爆開始から現在まで続く米軍の作戦行動全体のことだ(細かくいうとフィリピンやソマリアでの作戦も含むが、一般的にはアフガンを指して言う)。
そして、イラクの自由作戦はというとイラク戦争における米軍の作戦行動全体のことだ。この二つは関連しているが、全く別のものである。
私は他に似たような記事がないか5月23日号の別のページを見てみた。テレビ欄や広告も含め全部で20ページあったが、きりしまの件は一面トップにしかなかった。次にこの前後いくつかの号の一面をみてみたが、きりしまは出てこない(5月16日号はファイルが壊れているようで開かない)。
さらに、きりしま出発の際はどうか見てみたところ、2002年12月27日号のトップを飾っていた。きりしま派遣は戦後日本にとって初の戦闘地域に向けた軍艦の派遣であり、その意味は大きく、実利的にも米軍にとって歓迎すべき出来事として捕らえている。しかし、江田氏の発言につながるような記述はない。(ちなみにこの写真がよい。きりしまの前の抗議船もばっちり入れており意味深である。)
念のため、5月20日以外に、きりしま、ときわ、はるさめの組み合わせでインド洋から帰還した日が別にないかと海自のHPを見たが、現在のところそれっきりだ。
http://www.mod.go.jp/msdf/
http://www.mod.go.jp/msdf/about/haken/hakenkyouryoku/
kantei/index.html
とはいえ、2004年8月16日の赤旗によると、このときの派遣期間中にときわが、イラク行きの3艘に給油していることが分かっているとある。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik3/2004-08-16/01_01.html
<海自艦 イラク作戦の米艦に給油 昨年末 テロ特措法を逸脱>
米海軍のホームページや中東を担当する米第五艦隊の機関紙などによると、給油を行った海自艦船は補給艦「ときわ」。昨年十二月五日、北アラビア海で、米強襲揚陸艦ペリリュー、ドック型揚陸艦ジャーマンタウン、ミサイル巡洋艦ポートロイヤルの三隻に航空燃料を提供しました。
三隻はいずれも米海軍が先制攻撃戦略を具体化するため初めて編成した「第一遠征攻撃群」(ESG1)に所属する艦船。米海軍のホームページは「ときわ」から給油を受けた際、ESG1は「『イラクの自由作戦』と『不朽の自由作戦』を支援するため展開」していたと指摘し、イラク占領作戦が任務に含まれていたことを明らかにしています。
「イラクの自由作戦を支援するためインド洋に配備され」とはっきり言えるかどうかは別としても、イラクの自由作戦に加担していたことは事実だ。
果たしてこの違いは何処から来るのだろうか。今のところよく分からない。第5艦隊のHP同様、何らかの事情によってごく最近記事の差し替えが行われたのかもしれない。あるいは江田氏の政策秘書が複数の情報を一つにまとめて提示したことを江田氏に伝えてないのかもしれない。いづれにしてもとても気になる。
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