
新聞の囲み記事というと読者に意外だなとか、へぇ~そうなんだと思わせるものが多い。こいつはそれにうってつけかも。米国東部時間21日午後3時半にヤフーにアップされたAFPのニュース。
US military needs 'image makeover' in Iraq: study
(米軍はイラクでイメチェンしないと:研究報告)
「ちょうど人々がボルボの車を「安全」と思うように、米軍にはすべての作戦行動と発言を通して強いブランドアイデンティティーの構築が必要である」と、無党派のランド・コーポレーションが発表した報告書にある。
肯定的なメッセージを送る代わりに、米軍の作戦行動によってしつこく売り込んできた「武力の誇示」ブランドは、地域住民に悪い影響を与え、潜在的協力の可能性をだめにしていると言う。
「消費者マーケティングの主眼点は、対象とする顧客を知れば彼らの欲求を満たすことができる」と、ランドのassociate behavioral scientist(行動科学の一種)の研究者で、報告書の主筆であるTodd Helmusさん。
「米軍は、イラクやアフガニスタンの一般市民がどのような人たちであるのかを知ること、それからその認識を日々の軍事行動に適応し、そして彼らが米軍の軍事行動をどのように理解しているかモニターすることが必要です。…その結果、米軍はもっと市民の支持がえられるよう軍事行動を調整できるのです。」
調査報告は、ブランド設定、顧客満足、そして影響力のあるひとを利用することなど、マーケティング技法でもって分析されている。「同じ技法が、アフガン人やイラク人の米軍に対する理解を形成する助けとして応用できる可能性があることを見いだしたんです。」
それはまた、マーケティングのプロと、さらに現役軍人や退役軍人に対しての数多くの聞き取りによる発見をベースにしている。
しかし、広告業界ではイメージがすべてかもしれないが、戦闘地域での進展は公正である程度具体的な行動が要求される、とHelmusさんは強調する。
「それは単に米軍の活動において的確な情報操作を付け加えるということではありません。言葉だけでは世論の支持をえられないからです」と、彼は言う。
「それよりむしろ、イラクやアフガンでの反乱対策に不可欠な地域の協力をえたいというなら、米軍が正しい行動をとることが要求されます」。
報告書はまた、市民が連合軍に協力するよう促すのに、「ソーシャルマーケティング」を推薦している。
「米軍が市民をやる気にさせるためには、そうすることがある面において利益につながることを特定し強調することが必要とされる。例えば、もし安全がやる気を引き出す便益ならば、武装勢力に心づけをしてやることで市民の安全を強化できる。」
アメリカの失敗のいくつかについても、報告書で詳細に述べられている。
「いくつかの事柄はうまく翻訳されていない」とある。「危険は同じであるという仮定の背後に横たわる」。
例えば、ある心理作戦のための小冊子は二つの見方を有している。「お前らを見つけ出し、裁きを与える」という声明は武装勢力をおびえさせるために空から落としたのかもしれないが、同時に同じ地域にいた市民にも届いた。それは、「これを拾った人すべて」に対してという悪い見方を与えている。
別の例ではこういうものもある。「連合軍のヘリコプターが都市部を飛行しているとき、射撃手はヘリから足をぶら下げているが、そのことが上空を見上げたイラク人の怒りを思わずかっている」。なぜなら、アラブ文化では足の裏を他人に見せることは無作法であるからだ。
研究書には、ことばの使い方が文化を越えて、いかに異なって訳される可能性があるのかについて強調した国防総省に対しての研究もある。
「アメリカの開かれた外交がイスラム社会に民主主義をもちこむことについて言うとき、利己的な偽善以外の何者でもないとみなされる」とある。
「さらに、「自由は中東の未来だ」は、人を見下したようにみなされ、アラブは古い共産世界の虜になっているような人たちであると暗に言っているように写る。しかし、イスラム教徒はそのようには考えない。彼らは虐げられてはいるが、虜にはなっていないと感じている。」
■ランド・コーポレーション
非営利のシンクタンク。最初は米軍に研究分析を提供することを目的に形成された。その後、政府、私立財団、国際組織、営利団体と仕事相手を拡大してきた。厳格で、しばしば定量的で、党派による偏りがない分析と政策提言でしられる。従業員数1,600。公共政策を教えるFrederick S. Pardee RAND大学院の本拠地でもある。
http://en.wikipedia.org/wiki/RAND_Corporation
なお、研究論文はランド・コーポレーションのHPにて無料で全文公開されている。
Enlisting Madison Avenue(広告業界に協力を求める)
http://www.rand.org/pubs/monographs/MG607/
■Field Support Modules
現状でも一応こういうのもある。米軍の教育関連サイト。世界中の派兵地の言葉や風習、歴史など基本的なことをオンラインで提供している。一般公開している部分も多い。独特なのは文例集。米軍が任務を遂行しやすいように工夫がなされている。「May I see your ID?」を現地語でいうと?
http://fieldsupport.lingnet.org/iraq.html
http://fieldsupport.lingnet.org/iraqi/ir_ca_LSK/module8.html
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