シスタン・バルチスタン州というのは、かなりおっかねーところだね。スンニ派の武装集団と麻薬密売組織が絡む暴力沙汰がたびたび繰り返されており、1979年のイラン革命以来、3,000人のイラン兵が殺害されているらしいと、イギリスのガーディアンは解説している。
アフガンの国防大臣もまた、イラン政府が武器を供与しているという話には無理があるとしている。武器はアルカイダか麻薬組織からといったところだろうと推測している。
イランのタリバン支援説は、イラン政府の政策がタリバン支援に変わったという匿名の米政府高官の話に基づくそうだが、この話は5月下旬から6月初旬にかけて報道され、チェイニー副大統領が同調した。しかし、政策転換があったというような情報はこれまで一度ももたらされていない。眉唾ではないか。2ちゃんねる風に言うと、「ソースはどこだ?」という話になる。つまりは、チェイニーはブッシュにイランを攻撃させるための口実を与えたいだけだろう。
実際、現地ではイランの影響よりも、パキスタンのほうがよっぽど深刻と見ている。パキ北部の北ワルジスタン州と南ワルジスタン州は中央政府のコントロールがきかない独立地帯であり、親タリバンのイスラム原理主義者が支配している。タリバンの攻撃はこっからやってくる。
パキのムシャラフ大統領は現在、このイスラム原理主義者らに対して積極的に取り締まってはおらず、それをチェイニー支配するところの米政権は容認しており、そのことがタリバンにとって非常に有利に働くという紛れもない事実を米政府は公言しない代わりに、イランの関与という重要度の低い方をことさら吹聴している。実際イランを攻撃したら、NATOのアフガンでの役割はむしろ困難になるだけなんでは。
一方、バーンズ国務次官はクリントン政権でも活躍した人物で、チェイニーのイラン攻撃案に反対している。発言はフランス滞在中に出たもので、イランがウラン濃縮を1,2週間の間に止めない場合、安保理で制裁措置を課すことにフランスにも同調するよう迫ったとみたほうが妥当だろう。
そういえば、先月だったか、先々月だったか、イラクでイラン製の武器が初めて発見されたとし、それがイラン政府の関与の動かぬ証拠だと米政府が騒いだ。これも疑ってかからざるをえない。確かにイラン製であることは本当だったが、今になって初めて発見されるというものおかしな話であるし、武装勢力あるいはレジスタンスによる密輸である可能性が捨てきれない。というか、極悪イランにしたいがためのプロパガンダじゃねーかと思えてしょうがない。政治ってのは言ったもん勝ちってことなんかねぇ。
http://www.antiwar.com/porter/?articleid=11168
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